2006 |
11,26 |
«目覚ましよりも。»
その日の朝は、とても冷え込んだ。
耳元でなる目覚ましが聞こえていながらも、なかなか布団から出ることが出来ない。
部屋の外からは、活動し始めた母が、忙しく動く音が聞こえていた。
母が起き出してこない僕に声を掛けるまで、あと十分くらいだろうか。
それまで僕は、布団の中にいればいい。 声がかかって初めて、布団から出たらいい。
僕は再び目を閉じて、「起きなさい」と声がかかるまで、布団の中で身体を温めることに専念することにした。
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双井 志良
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