忍者ブログ

遊歩道

なんてことないSSがメイン。 ほんのりBLがあるかもしれないのでご注意くださいませ。
2025
07,09

«[PR]»

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2006
12,12

«スノウ»

「寒いよなあ。」

どんよりとした空を見て、隣を歩くコイツはそう呟いた。

「雨でも降りそうな天気だ。」

黒に近い灰色の雲が、大分近くに見える。
降りだすのも、時間の問題だろう。

「もうちょっと冷えたら、みぞれくらい降りそうだよな。」

「やなこというなよ。明日早朝練習なんだから。」

これ以上冷え込まれてたまるか、と思ってそう言うと、「悲しいねェ?」と笑われた。

「なにがだよ。」

「ちょっと前までは雪が降ると喜んでたのに、いつの間にか雪を鬱陶しく思うなんて。」

「そうか?」

ガキの頃は、雪で遊んだ後のしもやけになったときのカユミとか、
翌日の凍りついた道路とか、そういうのは気にしないでいられたから、偶にしか降らない雪を見て、はしゃいでいたんだろう。
今は別に、雪ではしゃぐような歳でもないし、雪の誘惑に負けた後のことを知ってるから、嬉しいと思ったりはしない。


雪を綺麗だと思うことはあっても。


「大人になるってこういうことかな。」

「そうかもな。」

PR
2006
12,06

一歩ずつ、ゆっくりだけど、確実に前に進む。

周りから遅れをとってる。 だから、俺には立ち止まってる時間なんてない。
追いつこうとは思わない。 だけど、これ以上、離されようとも思わない。

「先に行くぜー?」

自分の少し後ろを歩いていた人が、急にスピードを上げて、俺の前へと進んで行った。
また、抜かされた。 そうは思うけど、自分もスピードを上げようとは思わない。
俺には俺のペースがある。
今からペースを上げたって、途中で息切れするに決まってるんだ。

コツコツ歩けば、きっと大丈夫。
止まることなく、マイペースで行こう。

2006
12,01

今日からやっと十二月に入ったところだというのに、
世間ではもうクリスマスだ。
定番のクリスマスカラーが街では踊り、それを見る人たちも、心なしか嬉しそうに見える。

まだまだなのに、と思ったけれど、きっとすぐなんだろう。時間が経つのは、驚くほど早いから。

クリスマスといえば、大体家で家族と過ごすか、一人で過ごすかのどちらかだ。
今年は親も仕事があるとか言っていたし、弟も彼女とデートの約束をした、なんて言っていたから、
多分、俺は一人でいつものように過ごすのだろう。 クリスマスなんて、あんまり関係なく。
ケーキくらい買っておこうか、と言われたけれど、クリスマスに一人でケーキだなんて、虚しいにも程がある。

とにかく、十二月は始まったばかり。
もしかしたらクリスマスまでの何週間かの間に、予定が入るかもしれない。

そこまで考えて、あぁ、俺もなんだかんだ言いながら、クリスマスを楽しみにしてるんだな、なんて思った。

2006
11,30

放課後、毎日のように聞こえてくる歌声に、僕は耳を傾けた。

澄んだ、きれいな声。

一体、どんな子が歌っているんだろう。
声だけは、毎日聞こえるのに、僕はその子のことを、見たことがない。

その子が奏でるメロディを、僕は昔、どこかで聴いたことがある。
けれど、それがどこでだったのか、これがなんという曲だったかは、思い出せない。

懐かしい  そんな気がするだけで、もしかしたら、一度も聴いたことがないのかもしれない。

この声の主は、どこにいるんだろう。
音楽室だろうか。 それとも、普通の教室だろうか。

一度でいいから、会いたい。 そう思った。

会って、訊きたいんだ。
懐かしいそのメロディの、名を。

2006
11,29

まだ十七時だというのに、外は随分と暗かった。
吐く息が、白く、頬を撫でる風は冷たかった。

隣を歩く友人の、口数がいつもより少ないのは、寒さの所為だろうか。
それとも、僕が曖昧な返事しかしない所為だろうか。

・・・恐らく両方だろう。
寒さに震える声は、少しだけ悲しく、空へと響いた気がした。

「ほんとにさ、どうするの?」

「うん、どうしようか。」

先ほどから、同じ会話の繰り返し。
僕の中にはすでに、答えは出ている。けれども、それを口にすることはなかった。
口にしてしまえば、今までの関係はきっと、ウソだったかのように崩れてしまう。
確信はないけど、そんな気がした。

「どうして、濁すかな。」

「・・・ごめん。」

「謝って欲しいんじゃないけどさ。」

その声は、いつまでも優しかった。

――― いっそのこと、突き放してくれたらいいのに。

僕はズルイんだ。 いつまでも一緒にいたいと思いながら、自分だけ違う道へ進もうとしてる。
ずっと今のままでいたいのに、突き放してくれたらいいと思ってる。

矛盾しまくりだ。 でも、どちらもウソじゃない。

どうすればいいんだ。 どちらを、選べばいい?
どっちも手放したくないと思う僕は、欲張りなんだろうか。

「俺は、俺の意見は、」

「分かってるよ。」

選ぶことが出来るのは、一つだけ。
どちらか一つは、手放さなければならない。

「僕は、」

どちらも大切過ぎた。
だから、こんなにも悩んだんだ。


「           」


僕の答えに、キミは、笑った? それとも、怒った?

[4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]


« 前のページ: HOME : 次のページ »
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
コメント
[01/28 志良]
[01/28 風牙]
プロフィール
HN:
双井 志良
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
変わるんです。
バーコード
アクセス解析

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP
忍者ブログ[PR]