2007 |
02,19 |
«梅の花。»
暖冬、暖冬と世間は騒ぐが、俺はそんなに暖かくないんじゃないかと思っていた。
雪こそは降らないが、そこら辺には霜柱を踏んだと騒ぐガキんちょ共がいたし、
屋外はマフラーもコートもホッカイロも必要なくらい寒かった。
夜寝るときの毛布二枚掛けに加え、足元には湯たんぽを置いた。
それくらい、俺には寒かったのだ。
「ちょっと、どこ行くの?」
朝早く、飯も食べずに家を出ようとした俺に、妹が声を掛けてきた。
ご飯くらい食べて行きなさいよ、と言いたそうな顔をしていたが、あえて気づかないフリをさせてもらおう。
「散歩だよ、散歩」
「この寒い中?風邪引くよ?」
日に日に口五月蠅くなっていく妹は、やはり母に似たんだろうか。
でも、俺は父に似ていっているとは思えない。
(俺、あんなに態度デカくないし)
心の中でため息を連発して、俺は妹に、「すぐ戻るし」と告げて、
その返答も待たずに家を出た。
確かに外は寒い。そして、家の中は暖かい。
それは十二分にわかってるけど、いつまでも家の中にいると、肺の中が生温い空気で満たされて、
ちょっと気分が悪い。
かと言って、その空気を逃がすように換気をすれば、家族から顰蹙を買う。
いつもはそんなこと気にしていなかったが、もし自分が家族の立場だったら絶対キレるだろうと思ってしまったから、今日は俺が外に行こうと思い立ったのだ。
妹に言ったとおり、すぐ戻るつもりだから、家の周りをぐるっと一周するだけでいい。
気分転換には、それで十分。
「・・・あ」
ふと顔を上げると、そこには梅の木があった。
ここは春になると、いつも梅がキレイで、近所では結構有名だし、俺も何度か遊びに来たことがあるけれど、
俺は枝を見て、声を上げたのだ。
そこには、濃いピンク色の花。
いつの間にか、花開いていた梅。
俺は毎日、学校に行くために外に出ているはずなのに、ちっともそれに気づかなかった。
まだこんなにも、俺にとっては寒いのに、
やっぱり今年は暖冬で、そして確かに春は近づいていたのだ。
そんなことにも気づかないなんて。
(・・・なっさけねェー・・)
そんなことを思いながら、
一生懸命に自分を主張している梅の花を、俺は眺めた。
二月の頭くらいからツボミは膨らんでたし。
鹿児島だかどっかでは、もうモンシロチョウが見られたらしい。
春が近づいている、というか、もうきたんですかね。
卒業シーズンは桜がキレイかもしれない。
入学式は桜がないかもしれない。
前にも書いたかもしれませんが、
今、mintさんとラクガキ広場でしりとりやってたりします。
暇だったら参加しちゃってくれたりすると嬉しかったりしなかったり。(や、嬉しいよ!