2007 |
06,24 |
«きみと、あたし。»
あたしにきみが必要なように、
きみにもあたしが必要だったらいいのに。
でも、あたしなんかいなくても、
きみは生きていけるよね。
きみにとってあたしは、大勢の中のひとりにすぎなくて、
きみがあたしのことを知っているのかもわからない。
でも、あたしにとってきみは、
他のなににも変えられないくらい、大切だから。
あたしにきみが必要なように、
きみにもあたしが必要だったらいいのに。
2007 |
06,21 |
«届くかな。»
手を伸ばしたら、キミに届くかな。
ちょっとだけ前を歩くキミは、立ち止まって後ろを向く。
まるで僕が、キミの隣りまで行くのを、待ってくれているみたいだ。
でも僕は、キミの隣りには行かない。
少し後ろから見ているのが、ちょうど良いんだ。
これ以上キミに近づいたら、
僕はキミを忘れられなくなってしまうから。
手を伸ばしたら、キミに届くかな。
そんな微妙な距離が、心地良いんだよ。
2007 |
06,13 |
«無力。»
キミが静かに泣いていることに、僕はずっと前から気づいてたんだ。
だけど、キミを慰めることも、
キミのそばにいることも、
僕にはできなくて。
キミの心の傷が、少しずつ深くなるのを、
僕はただ、見ているだけ。
2007 |
05,06 |
«それだけ。»
吹き抜けた風が、長い髪を浮かせた。
うっとうしそうに掻き揚げたときに見えたおでこ。
向かい風で細められた目。
きゅ、っと閉じられた口。
きみのすべてが好きだ。
独り占めしたいだなんて思わない。
そばにいられたら、それでいい。
毎日一緒にいたいわけじゃない。
たまに頼ってくれたら、それでいい。
笑いかけてくれなくてもいい。
ただそこにいてくれれば、それでいい。
恋なんてものじゃない。
好きなだけ。
ただ、好きなだけ。
2007 |
03,28 |
«背中。»
たった一つの差が、こんなにも大きいものだとは知らなくて、
走っても走っても追いつけないから、涙が出た。
昔みたいになにも気にしないで歩くのは、大きくなりすぎたわたしたちには出来なくて、
待っていてはくれないあの人を、私は追いつけもしないのに追いかける。
いくら急いでも、あなたは見えないよ。
いくら背伸びしても、あなたには届かないよ。
いくら叫んでも、あなたは気づかないよ。
いくら想っても、あなたには伝わらないよ。
いつもの一歩を少し大きくしても、距離は縮まらなくて、
月日が流れるたびに感じる、あなたとの溝。
わたしが見つめるのは、いつもあなたの背中。
わたしが歩くのは、いつもあなたの後ろ。
もう一年早く生まれていたら、
わたしはあなたの隣を、歩いていたのかな。